6月1日 盛会だった「英国古謡とリュートソング」の夕べ
梅雨入り間近の6月1日、前夜の大雨も上がり、ひんやりとした風が心地よい夕べに、卒業生会主催のコンサート「懐かしい英国古謡とエリザベス朝のリュートソング」が開かれました。明日館の垣根の可憐なバラの花が、集まった人たちの目を楽しませていました。
コンサートは波多野睦美さんの優しくつぶやくような歌声で始まり、つのだたかしさんのリュートの調べとともに、私たちをシェークスピアの時代にいざないました。繊細で優しい音色はどこかとても懐かしく、耳を傾けていると、心の奥底から穏やかになっていくようでした。
第1部は、ジョン・ダウランドの作品を中心に英国の古謡が演奏されました。当時の人々に愛された歌は、メランコリックなものから華やかな舞踏曲までいろいろです。曲と曲の合間の波多野さんのトークと、つのださんのリュートについてのユーモアを交えた説明も楽しく、それぞれの曲への興味が一層つのりました。
第2部は、武満徹の小曲から始まりました。ヨーロッパ公演では、「三月のうた」という曲の説明が難しかったとのこと、3月を新たな門出に向けた別れの時と感じる日本人の思いは、文化の違うところでは説明しにくかったというお話を、なるほどと思いながら伺いました。後半はイタリア歌曲が披露され、女子部卒業生には懐かしい「麗しのアマリッリ」が夕闇の講堂に優しく響き渡りました。
初めて来られたお客様たちは、コンサートの素晴らしさはもちろんですが、明日館講堂の雰囲気に強い印象をもたれたようで、会の後も立ち去りがたい様子で建物の歴史について質問をされる方もありました。明日館にふさわしい、和やかで心豊かなひとときとなったことを、とても嬉しく思いました。
来年2月9日(土)の午後に予定しているバロックコンサートも、ぜひ今回同様、自由学園の卒業生会らしい音楽会にしたいと願っています。
今回、切符を買って下さった方は208名、そのうちの半数近くが卒業生でした。また、会場を貸して下さった明日館、広報に力をお貸し下さった同学会、いろいろなかたちで皆様が学園への協力をして下さったことを、心より感謝致します。ありがとうございました。(46回生・太田)