小学校教師(2009年11月14日)

17年間を過ごした自由学園から、公立の小学校という教育界へ飛び出して気づいたのは、学園の教育は、to do(何かをするため)ではなく、to be(どんな人間になるか)の教育だったということでした。

「生活科」が始まったとき、1年生の担任だった私は、校庭を探検した子どもたちが無邪気に尋ねてくる校内の草木の名前が全部わかり、どんな花や種になるのか、1年間の一番の見どころはいつなのか、全部頭に浮かんできて、自分でもびっくりしました。まわりの先生方からも、「これは特技ではなく、あなたの人となりだね」と言われ、女子部で教わった植物の名前や栽培の知識は、植物を慈しむ人になるというto beの教育に自然に付随してきたものだったのだと知りました。

また、担任した学級で「〜しなさい」と、to doばかり言って失敗し、生活団では、「行儀よく食べなさい」ではなく、「動物のような食べ方をせず、上手に食べる人間の子どもになろう」とto beの教育をしていたことに気づいて、はっとしたこともありました。 to beの教育、私の座右の銘です。 (62回生 山口)

  
子ども達が下校した後はいつも、教室の後ろから一人一人の座席を見ながら、その日のことを思い返します。楽しかったこと、大失敗したこと、すべて明日につながるように。

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