2014年5月度那須農場復興支援のご報告

2014年5月度那須農場復興支援のご報告

5月10~11日 那須農場の復興支援労働に参加させて頂きました。
那須農場は両日快晴で気温23~25℃、湿度30%前後と清々しく、また燃えるような新緑と初夏の様な空気に満ち溢れていました。そこで私は悪戦苦闘の田植えデビューと、仲間との交流、そして今年度より新たに活動に加わった、放射線量低減が期待される特殊素材「セシウム吸着モール」の場内設置という貴重な体験をしてきましたので以下に報告致します。
「皆様も是非、時間を創って足を運んで下さい。心が手ぶらで帰ることは無いと思います。」

私は、これまで秋のキャンプには何度か参加させて頂いのですが、この季節にしかも支援労働の参加は初めてでした。きっかけは、数年前から復興支援室の活動を支え、その素晴らしい活躍を評価され同学会復興支援担当/副委員長に就任した悪友Sに誘われた為です。今年、我々44回生は同学会運営を任された事で最近になって度々顔を合わせますが、学生時代の彼は有償労働(アルバイト)には精を出してはいたものの、無償の労働にはまったくと言っていい程興味を示さなかったのに、何故今になって究極の無償労働、いやポケットマネーを叩いてまで支援労働に情熱を傾けているのか?「那須農に何があるのか?」という好奇心からその誘いを受けました。

10日土曜日の午後に行った田植え作業は、私にとって人生初の体験です。苗を運ぶ作業から参加させてもらったのですが、大変楽しい出来事でした。軽トラックの荷台に立ち、田んぼに向かう途中、風を体で感じ、高い視界に映る景色が後方にすっ飛んで行く様に年甲斐も無く興奮していました。田んぼに到着すると、午前中に吹き荒れていた風もピタリと止み、地域の協力者である田代さん、室井さんのご指導の下、田植えが始まりました。田の広さは歩測で約600平方メートル、参加者は15名程度です。

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当初ゴム長靴を引っ張り出した私でしたが、直前で長靴に大きな穴を発見してしまい、不安な裸足スタートを余儀なくされ、いきなり出鼻をくじかれました。素足の裏に何が当たるのか予想できない恐怖感に内心ドキドキしながらのデビューです。意を決して足を踏み入れると「おや?意外にも水が温い」「ん?なんかぬるぬるの土が足の指の間を抜けるぞ?気持ちいいなー」と、たちまち微笑み体験へと変わり第一関門を突破してしまいました。挙句の果てには「足裏マッサージより効果がありそうだな!」等と意味不明な分析まで口にする始末。私の場合、これは気分が乗った証拠です。一方、参加者の皆さんは笑顔で難なくクリアしてたので、きっと私の事を「臆病者だな!」と思ってかも知れません。

さて、大勢でやる田植え作業は、横一線で苗を植えて後退する為、大変難しいものです。
そこで今回大活躍したのが、悪友T(S同様の旧有償労働派)が夜なべして作った水糸です。その名も「ミズイト・マサル君」。これは等間隔に目印を施した50m以上の力作で、派手な色遣いが田んぼに映えるとプロも認める逸品に仕上がっています。この「マサル君」の登場によって、小学生から大人まで個人差なく和気あいあいと作業が効率的かつ迅速に運んだ事は言うまでもありません。
また、田植えというのは大変面白いもので、一見地味な作業の中に葛藤や多くの事を考える自分がいる事に気が付きます。苗を植えたラインを見返して葛藤していた個所は曲がりまたコツを掴んで楽しんでるときは整っているところが出来ます。農作業とは人間の心が如実に表れるものなのでしょうか?どの苗も皆良いコメになってほしい。そんな事に思いを馳せていると無事作業が終了。その後は入浴や自由な時間も過ごせました。小学生のお子さんは泥だらけになって遊び続け、大人たちは心地よい疲労感を味わいながら、ほのぼのした農場の昼下がりを満喫してもいいのです。農場ならではの格別の時間が流れます。

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夕食は農場主任の前田さんと山口さんをお招きしてバーベキューを全員で囲みました。今日出会い共に汗を流した同志と空腹を満たし、語らい、出身校や労働の参加回数などのわけ隔てがなく、新参者の私でさえまったく肩身の狭さを感じる事なくうれしく思いました。ボランティアを受け入れる為にこの雰囲気は重要です。運営メンバー皆さんのご尽力は察するに余りあるものがありますが、これこそが那須農場復興支援労働の最大の魅力だと感じました。卒業して時間の経った我々にも許される感動体験農場。この素晴らしい農場を教育の場として学生たちに早く戻してあげたいという気持ちが芽生えた貴重な夜でした。
翌朝は、寝坊して牛舎掃除やエサやりに参加できなかった事は心残りですが・・・
また、食事の準備を頂いた女子部卒業生の方々、お子様、お友達、奥様方、その他の皆さんにお礼を言わせて頂きます。有難う御座いました。素晴らしいご馳走でした。

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「放射線セシウム吸着モール設置の報告」
日時  :5月11日AM
設置者 :那須農場/山口曜、男子部44回生/原孝二、柄澤寿洋
【実験の目的】
 環境浄化研究所から提供頂いた「放射線吸着モール」(1m×5本)を那須農場の放射線量が高い場所に設置して吸着を試みます。約1カ月後に回収予定しどれだけ放射性物質を吸着するか、どれだけ当該の場所の放射線量が低減するかを確認する予定です。
 吸着モールは水中のセシウム(Cs)などを吸着するものなので、田んぼなど水があり、かつ放射線量が比較的高いところを山口さんに探してもらいながら設置することにしました。設置する前に、当該地点の空間放射線量(地表上)を線量計で測りました。誤差が10%以下になったところで数値をとるよう努めましたが、一部、時間がかかるため10%超のところもありました。ちなみに那須農場の生活エリア(食堂の前)は0.13μSv程度でした。

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【設置場所】(5カ所)
①田んぼ(今回田植えした場所) ②食堂前、プール横のビオトープ ③グランドの沼が乾いたところ ④食堂裏の樋の下 ⑤芝生下の雑木林
2本のアンカーにモールの両端をひっかけ、深く打ち込む。モールに識別用赤いガムテープにマジックで「①」と書き込む、以下他の設置個所にも同様の作業を実施済。

以上

柄澤寿洋(D44)

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