2015年9月度 那須農場復興支援労働のご報告
初めて支援労働に参加して
D49 森 春潮
9月12日~13日の支援労働に参加し、飼料(デントコーン)のサイロ詰めや牛舎での給餌などを担当しました。那須農場に来るのは高等科以来、約30年ぶりだったので少し不安もありましたが、 自分が唯一の初参加者ということで先輩方に色々ご指導いただき、事故もなく終えることができました。
普段の仕事はデスクワーク中心なので、たまには肉体を動かして汗を流しながら、みるみる視界が変わるほどの作業をこなすのは、やはり文句なく爽快なものです。さらに牛の給餌やローダーの操縦など、生徒の頃にはさせてもらえなかった作業が任されたのも新鮮でした。行き帰りのマイクロバス内や夕食後には、先輩諸氏から学園内外の色々な話も聞かせていただき、こうした形での交流も学園ならではでしょう。
男子部にいた頃、労働は「苦労も多いけど楽しいもの」だと思っていましたが、今回はそれに加えて「継承することへの責任と喜び」も感じました。男子部卒業から30年近く経ち、自分が在学当時に教師室で一番若手だった高橋和也先生は今や副学園長に、自分より一つ後輩の更科幸一先生が現在男子部長として活躍されています。自分と同世代の人達からも子息・息女が学園に在学中という話を聞くにつけ、今更ながら、世代交代を強く実感せずにいられません。
那須農場は、大塚甫先生をはじめ男子部の先輩方と先人の方々が守り育ててきた、大切な学びの場です。本来は生徒が行うべき労働かもしれませんが、今それが出来ないのであれば、かつてそこで学んだ同学会員として、少しでも良い状態で次世代へ渡せるよう力を出していきたい。今回の労働を通じて、その気持ちが一層強くなっています。
自分は男子部を出て音楽大学へ進んだのですが、大学在学中も海山の労働に特別参加したり、男子部の音楽科で教育実習させていただいたり(教員免許は取得したものの、教職に就かず企業に就職しました)と度々お世話になってきましたので、自由学園への感謝は尽きません。同学会員になってまだ3年目ですが、こうして労働に参加することで少しでも恩返しできれば・・・という思いもあります。仕事柄なかなか頻繁には来れませんが、また機会があれば支援労働に参加したいと思います。
<9月の労働内容について>
毎年8月後半から9月にかけ、農場は通常作業に加え、飼料用トウモロコシ(デントコーン)の収穫が重なる繁忙期です。昨年度は8月3週目から9月第1週目まで3週間連続の支援労働を実施いたしました。
今年は7月時点で農場長と打合せた結果、昨年とは品種の違うデントコーンを作付けしており収穫時期 が9月以降になるとの事で、復興支援室では2週続けての労働支援を計画。9月5日(土)と6日(日)、12日(土)と13(日)に希望者を募り、5日、6日には同学会、卒業生会等関係者会わせて17名、12日、13日には13名の有志にご参加 いただきました。
主な労働内容は以下のとおりです。
◆9月5日(土)、6日(日)
①地下サイロ デントコーン受入準備
②デントコーン収穫・運搬及びサイロ詰(地下サイロ・バンカーサイロ)
③ハザ掛け用竹切出し、加工、運搬作業(稲刈り準備)
④牧草地桜並木他草刈り
⑤牛舎清掃、作業補助
⑥芋畑雑草取り(9/21、22開催 那須農場キャンプ/同学会イベント実行室主催)
◆9月12日(土)、13日(日)
①地下サイロ・バンカーサイロ デントコーン受入準備
②デントコーン収穫・運搬及びサイロ詰(地下サイロ・バンカーサイロ)
③ハザ掛け組立て作業(稲刈り準備)
④食堂横芝生及び宿泊棟・子牛小屋・大塚邸周辺草刈り作業
(翌週9/21、22開催 那須農場キャンプ準備/同学会イベント実行室主催)
⑤牧草地桜並木草刈り
⑥牛舎清掃、作業補助
【①地下サイロ・バンカーサイロ デントコーン受入準備作業】
地下サイロ受入準備:サイロの壁四面にビニールを張り、最終的にサイロに詰めた飼料(デントコーン)が密封され発酵するように準備
バンカーサイロ受入準備:サイロの壁四面にビニールを張り、最終的にサイロに詰めた飼料(デントコーン)が密封され発酵するように準備
【②デントコーン収穫・運搬及びサイロ詰(地下サイロ・バンカーサイロ)】
デントコーン刈入れ/トラック積込み
地下サイロ搬入/バンカーサイロ搬入
両サイロとも、トラック1台搬入毎に乳酸菌を投入しデントコーンの発酵を促す。
地下サイロはユンボ、バンカーサイロはローダーで均しつつ詰めていく。
両サイロとも、重機でカバーできない壁際は人力で踏み固める
地下サイロ・バンカーサイロ詰め完了・ビニールで密封し発酵させ牛の飼料となる
【③ハザ掛け用竹切出し、加工、運搬作業(稲刈り準備)】
【④牧草地桜並木・食堂横芝生及び宿泊棟・子牛小屋・大塚邸周辺草刈り】
【⑤牛舎清掃、作業補助】
【9月9日~10日集中豪雨後、9月12日の蛇尾川の状況】
普段、水が流れていない蛇尾川もこの水位に。蛇尾川経由で那須農場に入る道が跡形もなく削りとられ、当分の間、通行不可!
8月後半から9月は那須農場の繁忙期であるため、2週連続の支援労働となりました。
平日降り続いた雨、特に9月9、10日の集中豪雨は鬼怒川の堤防を決壊させ、各地域の川を氾濫させ各地域にに甚大な被害をもたらしました。
幸いにも那須農場周辺は大きな被害はなく、予定通り支援労働を行う事ができました。両週末とも天気は曇り空、大した雨に降られる事もなく予定通りデントコーン収穫・運搬及び地下サイロ、バンカーサイロ詰作業が進みました。参加者皆さんの「貴重な晴れ間に出来るだけ作業を進めておきたい」という意識が強く、労働時間を延長して出来る限りのフルタイムで作業を行いました。
その他の作業として、9月21、22日に同学会イベント実行室主催の那須農場キャンプに向けて、宿泊棟周辺、食堂棟など農場各所の草刈り作業も順調に終える事ができ、100名を超えるキャンプ参加者を迎え入れる準備ができました。
参加された皆さん、またご支援くださっている皆さん、そして那須農場の皆さんに感謝申し上げます。
震災復興支援室