2017年ホームカミングデー
10月14日(土)、長雨続きの時期と重なり、曇天で時折小雨がぱらつくなか、本年も男子部でホームカミングデーが開催された。
今年の招待クラスおよび参加者数は、男子部卒業50年を迎える26回生からは23名、学部卒業25年を迎える48回生からは16名の出席となった。
10時半、男子部芝生の南北に分かれて並ぶ在校生が、体育館前に並んだ卒業生たちを迎えるホームカミングデー本鈴から会が始まり、その後、羽仁吉一記念ホールにて、男子部4期委員長の金子征弘君(78回生)による礼拝が行われた。生徒のピアノ伴奏により賛美歌354番を歌い、聖書はコリントの使徒への手紙II 4章 16~18節を交読した。
礼拝の後半は、タブレット端末とプロジェクタを使ったプレゼンテーションスタイルとなり、金子委員長からの問いかけ、「あなたは男子部の生徒である(あった)ことに誇りを持てますか?」という主題にて、対話形式での進行となった。
礼拝時の席順は、前より学年順で並んでいる在校生の後ろに、26回生、そして48回生が並ぶ配置であったが、委員長から卒業生への上記主題への問いかけの際は、在校生は卒業生の方に向きを変えて座り、
男子部の生徒であったことに誇りに思うかという問いに対して、各回生ごとに卒業生全員が、挙手をしている様子を目の当たりにすることとなり、卒業生にとっても、男子部で学んだ以降の時間を一気に俯瞰させる瞬間となった。
礼拝後、各回生全員の自己紹介、26回生から高橋一也学園長への寄付金の贈呈が行われた後、26回生の高倉豊さん、48回生の勝田潔さんによる講演が行われた。
高倉さんは、「自由学園で学んだこと」というテーマにて、博報堂に入社後、欧州駐在勤務を経て、当時では珍しい外資系の化粧品や時計といったブランド企業への転職経験を通じて、男子部での日々の生活で学んだことがどのように生かされたか、マーケティング分野での例など,在校生にも分かりやすい具体的な例を挙げてのお話しをされた。
与えられた環境、条件の中で、自分の頭で考え、工夫し成果を出していくという高倉さんからのメッセージは、男子部在校生にとっても、例えば委員での仕事、行事の係といったことの実践を通して学ぶことの重要性として伝わったのではないかと思う。
勝田さんは、地元名古屋市にて幼児教育事業を展開している中で、自社理念が意識せずに自分が自由学園で学んだ思想からの影響を強く受けていたという気づきを通して、自らの手がける幼児教育を例に、在校生に対して、真理の探究という姿勢の重要性を説く講演を行った。
その後,昼食の時間となり、各回生が2〜3人ずつに分かれて、在校生とテーブルを囲みビビンバ丼、サツマイモの甘煮、デザートのライチといったメニューの昼食をいただいた。
食事準備の保護者の方々の中に男性も混じっていること,食器が陶器製になっていることなど、我々の過ごした時代とは大きな差違があり、また食事中、積極的に卒業生に話しかける在校生の姿勢にも、非常に驚きと好感を持った。
昼食後、幸いにも雨は上がり、体操館前での各クラスごとの記念撮影の後、三〜四人ずつのグループに分かれ、男子部高等科在校生の案内にて、学園全域の見学を行った。
変わらぬ風景のままの箇所もある一方、内部が大きく改装された図書館、かつての女子部新清風寮だった、現在の男子部東天寮内部を見学することができた。また、見学のあいだ、案内の在校生との何気ない雑談を通して、現在の男子部の雰囲気を知ることができ、それも貴重な体験となった。
15時過ぎ、再び羽仁吉一記念ホールに全員が集合し、男子部の教師の方々と共に、辻村透先生(自称41回生)の司会にてお茶会の時間となった。
村山順吉理事長(32)、高橋和也学園長(40)のご挨拶、男子部の先生方全員の自己紹介があり、高橋和也学園長からは昨年発足した国際化センターについてのご説明があった。
現在、センター長は当日も列席されていた矢野恭弘先生(26)が務められており、学園の生徒が海外に赴くだけでなく、海外からの学生の受け入れも積極的に行われているとのことであった。
その中の一例として、ニューヨークの学校からの学生を受け入れた際、男子生徒はホストファミリー宅でなく男子部の東天寮での受け入れとなり、半裸となっての乾布摩擦、全裸での集団入浴といった大きな文化的な差違がある部分について、念のため事前に先方の引率の先生に確認したところ、そのままで構わないという回答があり、非常に驚いたとのこと。生徒たちも、実際にはとても苦労していたようだが、それが良い経験になったようだとのご報告があった。
その後、木造建築時代の東天寮のモノクロ映像の鑑賞があり、26回生には懐かしい風景との再会となったようだ。次いで、近年のカラーとなった男子部の生活風景の映像が流され、当時の男子部の礼拝時の風景に、故赤木英哉先生(2)が映った際には、48回生の参加者から感嘆の声があがった。
そして、26回生の藤井常敏さん、渡辺健一さん、48回生の薄井邦保さんの近況報告の時間となり、藤井さんは男子部時代の故宮嶋真一郎先生(1)との遠足の経験をもとに、その後、ご自身だけでなくご夫婦で百名山登山を完遂したお話し、渡辺さんは学部でのサッカー部時代、部降格の危機を切り抜けた思い出について語っていただいた。
薄井さんは、現職の大学職員でもあり、学生の国際交流活動に携わっていることから、その取り組みについての紹介、過去に外国人がどのように日本語を学んでいたかなどについて語っていただいた。
最後に、音楽の武田先生(J59)の伴奏により男子部賛歌を全員で歌い、さらに男子部の生徒が利用しているものと同じ陶器製のカップなどの記念品をいただき、16時過ぎに散会となった。
26回生、48回生ともにクラスメイト同士での語らいの表情をみると、自由学園男子部においては、共に同じ時間を過ごした同級生のクラスという単位は、かけがえのないものであると改めて認識し、このような機会を与えてくださった男子部には深く感謝をしたい。
広報室 重松 雄(48)