高橋学園長より(2018/2/17委員会追記)
3つのことをお話ししたいと思います。
ひとつは生徒人数のことで、現在の学園の状況を把握していただきたいと思っています。もうひとつは生徒たちの様子。そして女子部が100周年を迎えるにあたって考えていくことについてです。
自由学園の生徒人数が一番多かったのは1976年で1,400人を超え、そこから減少を続けています。平均すると前年比、毎年15人ずつの減少傾向にあります。みなさんの中では、最近生徒が減ったと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、もう何十年にもわたり、世の中の少子化と合わせて減少していることがわかります。その中でも東日本大震災の影響が大きいものでした。1クラス分の生徒が減りました。地方生の減少、そして在校生からは、東京に子どもを置いておけないと心配する家庭もありました。それから7年が経ちます。翌年、翌々年と回復し、減少60人から30人に回復。昨年にはマイナス7人まで挽回しました。
生活団、初等部とも入学者数が回復しつつあり、来年度は前年比プラス20人に回復する見込みです。とても嬉しいことですが、一方、女子部の入学者はこの数年、40人をきっています。女子部が男子部と同じくらいになってしまっているのが現状です。女子部の教育は素晴らしいのですが、これからの女子部教育を、これからの時代を踏まえて本気で変えて、創造していかなければいけない。これが非常に大きな課題だと思っています。財産として私たちに残された教育をさらに磨いていかなくてはいけないと思います。
二つ目の生徒の様子についてです。養老孟司先生が講演会に訪れ、学園をご覧になり、これからこういう教育こそが必要だ、なぜこの教育が広がっていかないかが不思議だとおっしゃってくださいました。講演会後に生徒から出てきた質問も、本質的で成熟していると感心してくださいました。
東久留米市主催の教育関係の研修会の方達が学園に見学に来ました。女子部の高校三年生の9人に案内させました。見学者20人の予定が、みなさん市外からの方も参加され40人になりました。1時間、生徒たちに自由に案内してもらい、そのあと私が30分ほど話をしました。質問がでなかったので、逆に生徒に突然マイクを向けると、生徒がすばらしい感想を言ってくれました。「入学した時から、自由学園は不自由な学校だとずっと思ってきた。でも、今高3になってみると、それが社会で自由になるために学んでいることがわかった。それもひとりではなくて、みんなで自由になるためにどうしたらいいかを考える力を身につけているということを思う。ルールがないと人と一緒には生きてはいけない。でもそのルールがほんとうにそれでいいのかを考えて変えていくことを学んでいる」という言葉でした。わたしはとても感心しました。その他の生徒たちもとてもよく考えられたことを言ってくれました。
100周年に向けて、自由学園が持っているものを大事にしつつ、創立者が目指した創造的であるということを大切にしたいと思います。世の中にないものに創造的にチャレンジしていくという精神を忘れずにいたいと思います。同時に天野先生がおっしゃった「伝統のない創造は模倣になるし、空虚になる」という言葉を忘れず、私たちの伝統を大切にしつつ、創造していく勇気をもって、進んでいきたいと思います。