2019年 九州自由学園の会
若い人や自由学園から遠く離れている人が参加しやすい会にしたい――
11月9日に福岡市内で開いた「九州自由学園の会(九州同学会・卒業生会)」。6月に、私を含めた男女の幹事3人が打ち合わせで集まったとき、冒頭のことを第1に考え、会の内容を練ることになった。
伝統のある九州同学会・卒業生会は、九州出身者を中心に、毎年参加してくださる方たちがいる。最近は私のような、九州出身ではないが、仕事で福岡に赴任した同学会員もかなり参加するようになった。だが、それでも男女計130名前後いる九州在住の卒業生のうち、会に足を運ぶのは例年30~40名程度。およそ3分の2は参加していないのだ。
たとえば、子どもを育てる世代の女性は、週末の開催でも家を空けにくい。年齢が高い九州在住卒業生と親しくない若い人たちも、参加に二の足を踏んでしまう。
「実はこれまで九州の会にはあまり行きたくなかったのです」と話す卒業生会の若い幹事2人と相談しながら、①報告会と食事会を分け、どちらかだけでも参加できるようにする ②同学会からの補助費(九州在住の同学会員1人当たり5,000円)を報告会・食事会の運営に充て参加費をできるだけ安くする――という2点を決めた。
参加費は報告会が1,000円、食事会が5,500円、さらに20代の参加者には1,000円を補助することになった。
11月9日。13時から始まった報告会の場所は、福岡市中心部にある会議場施設のアクロス福岡だ。
例年より1人当たりの報告時間をたっぷり取ることができたので、参加者の近況をじっくりと聞くことができた。
長崎大学を退官したあと、長崎県五島列島の小値賀(おぢか)島で離島医療を担っている佐藤光さん(31)は「小値賀島は平らな島なので、時間があるときにスケートボードを始めました」と話して、会場を沸かせた。
東京から参加した同学会副委員長の岩井純一さん(50)や協力会副会長の竹内裕司さん(43)が、報告だけでなく場所の設営や運営にも手を貸してくださり、スムーズに会を進められた。
夕方、博多の街に唯一残る酒造場の酒蔵を改造した「博多100年蔵」に場所を移して食事会を開いた。
酒蔵が運営する宴会場とあって、日本酒も含めたアルコールの飲み放題。多少緊張感があった報告会とは違い、宴が始まると、一気に談笑の輪が広がった。
広島、熊本、福岡、長崎と単身赴任生活を約9年続けている高木繁実さん(50)は初めて九州の会に参加し、上級生・下級生との再会、交流を大いに楽しんでいた。今春に福岡へ赴任したばかりの廣瀬周さん(72)は報告の場でこう話した。
「学園はどこへ行っても縦のつながりがある。初めての土地でもアットホームな雰囲気で迎えられた」
食事会には、卒業して間もない女子部94回生(男子部74回生に相当)の2名も出席した。1人は遠く大分県臼杵市からの参加。「同級生2人で誘い合わせて来ました」とにこやかに話し、会場を和ませた。
その後の二次会も含め、出席者は全部で34名。そのうち3分の1が、報告会や食事会、二次会の何れかのみに参加した人だった。九州の会に初めて出席した人も5名。
会を分け、参加のハードルを下げる狙いはある程度当たったといえるだろう。
折しも中央では、同学会と卒業生会の統合について議論・検討が進んでいる。催しなどに「いつも顔を出す」人のためばかりではなく、学園から遠のいてしまった人でも「参加してみようかな」と思える会。九州の会も、新しい同窓会組織も、そんな雰囲気を持った会にしたいなあと、改めて思った。
原 孝二(44)